【4月25日 AFP】ドイツの連邦労働・社会省は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による影響が欧州各国と比較して抑えられている同国でこれまでに死者5321人が出ているものの、政府が来月からブンデスリーガ1部の再開にゴーサインを出した場合、ウイルス感染防止策として選手にマスク着用を促す方針を打ち出している。

 同国サッカーリーグ機構(DFL)は23日、スタジアムに観客を入れないことや選手に対して厳しいウイルス予防策を講じた上で、来月9日からのリーグ再開に向けて備えていると明らかにした。最終判断については、30日に首都ベルリンで開かれるアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相と各州知事との協議で下されることになっている。

 独ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)によると、連邦労働社会省が作成した安全ガイドラインの草稿では、選手と審判団のマスク着用が推奨されており、「走ったり、ヘディングしたり、競り合ったり」する際にマスクが落下しないようにすることなどが求められている。また、「マスクが落ちたときは即刻試合を中断すること」や、マスクは激しい運動ですぐに湿ってしまうことから「最低15分ごとに交換」する必要があるとされている。

 この提案に対してトップクラブは懐疑的な姿勢を示しており、RBライプツィヒ(RB Leipzig)のマルクス・クレシェ(Markus Kroesche)スポーティングディレクター(SD)は、独紙ビルト(Bild)に対して、「マスクを着用して一度は走れるかもしれないが、何度もそうはいかない」「興味深いアイデアだが、私に言わせれば実践できるものではない」と述べた。

 バイヤー・レバークーゼン(Bayer Leverkusen)のメディカルアドバイザーは、シーズン再開の暁にはリーグが定期的に選手やクラブ職員の検査を実施する計画であることから、マスク装着の必要性はないだろうとの認識を示し、「マスク着用は心地よいものではないし、呼吸が妨げられる」「サッカーでは役に立たないだろうし、検査を実施した上で感染リスクが極めて低ければ必要性は感じない」と述べた。

 6月下旬までのシーズン完了が期待されている中、その他のガイドラインとして、シーズン中には各チームがホテルで隔離状態に置かれることが提案されている。(c)AFP