【4月22日 AFP】新型コロナウイルスに感染して一時入院していたボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相(55)が21日、公務への復帰を暫定的に開始した。一方で英議会は同日、政府の新型ウイルス対策への批判が高まる中、審議を再開した。

 ジョンソン氏はドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と電話会談し、新型コロナウイルス流行への国際社会の対応について協議。また当局によると、3週間ぶりとなるエリザベス女王(Queen Elizabeth II)との協議も近日中に行われる見通しだ。

 だが首相官邸の報道官は、集中治療室(ICU)で数日間を過ごしたジョンソン氏は現在、首相別邸チェッカーズ(Chequers)で回復途上にあり、「正式な公務復帰」をしたわけではないと説明した。

 ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)外相が引き続き首相代行を務め、ビデオ会議システムを通して行われる22日の下院の審議でも、ジョンソン氏の代わりに質問を受ける予定。

 英議会は21日、イースター(Easter、復活祭)の休会を終えて審議を再開。その直後、下院議員650人の大半に遠隔での審議参加を認める新たな措置を承認した。

 新型ウイルス感染防止のため対人距離を確保する方針により、下院で安全に着席できるのは議員50人のみとなる。リンゼイ・ホイル(Lyndsay Hoyle)下院議長は議員らに対し、登院はせずにビデオ会議サービス「ズーム(Zoom)」を通じて出席するよう要請した。

 英国では新型ウイルスの流行への政府の対応をめぐる批判や疑念が高まっており、議員らは審議再開を待ち望んでいた。英国は世界でも新型ウイルスによる被害が大きな国の一つで、21日に発表された統計によると病院で死亡した人の数は前日から828人増え、1万7337人となった。

 ジョンソン首相が率いる与党・保守党は長年にわたり、国営の国民保健サービス(NHS)に十分な予算を割り当てていないとの批判を受けている。閣僚らは連日、医療従事者向けの個人防護具(PPE)不足について追及され、国内での新型ウイルス検査の実施数も限られている。(c)AFP/Alice RITCHIE, Phil HAZLEWOOD