【4月16日 AFP】台湾の航空会社「中華航空(China Airlines)」をめぐり、社名を変更すべきかどうか激しい論争が巻き起こっている。台湾は新型コロナウイルスの流行国にマスクなどの医療用品の寄付を続けているが、物資の多くは中華航空機で運ばれており、到着先やネット上ではそれらが台湾と中国のどちらから届いたものなのか混乱を招いている。

 台湾は新型コロナウイルスの流行が拡大した中国と距離的に近いにもかかわらず、感染者数は400人以下に抑えられており、ウイルス対策のモデルと評価されている。

 最近では数百万枚のマスクや医療用品を海外に寄付しているが、林佳竜(りん・かりゅう、Lin Chia-lung)交通相は15日、立法院(国会)で「台湾市民はマスクを輸出していることを誇りに思っているが、流行が発生した国から届いていると誤解されている」と発言した。

 また、政党「時代力量(New Power Party)」の邱顕智(Chiu Hsien-chih)氏も「国がどんなに小さくても、その国の航空会社が他国の名前を背負うことで人々を混乱させるべきではない」と訴えた。

 中華航空は中国の航空会社である「中国国際航空(Air China)」と間違えられることも多い。中華航空の最大株主は台湾当局が管理する財団だが、社名変更には株主の承認が必要となる。

 行政院(内閣)の蘇貞昌(Su Tseng-chang)院長(首相)は今週、より目立つ台湾旗や台湾のシンボルを中華航空機のデザインに入れるよう提案したが、社名などに台湾の文字を入れると中国の反発を招く恐れがあると警戒する声も一部で上がっている。

 中国政府とのより穏和な関係を目指す野党・国民党(KMT)の議員は「中華航空が改名された場合、台湾と中国の関係は二度と戻ることができなくなる」との懸念を示している。(c)AFP