【4月15日 AFP】国連(UN)は14日、新型コロナウイルス対策の影響で数十か国で予防接種活動が縮小されており、世界中で約1億1700万人の子どもが麻疹(はしか)にかかる恐れがあると警告した。

 世界保健機関(WHO)と国連児童基金(UNICEF、ユニセフ)によると、すでにはしかの大流行が発生している数か国を含め、現在24か国で大規模な予防接種活動が一時中断されている。

 さらに13か国で、新型ウイルスの影響により予防接種活動の展開に悪影響が出ているという。

 はしかは感染性が極めて高い疾患で、毎年約2000万人に広がり、その大多数が5歳未満。

 はしかワクチンは安価で入手しやすいにもかかわらず、WHOによると「ワクチン接種への躊躇(ちゅうちょ)」が主因となり、はしかの症例は近年急増している。

 新型コロナウイルスの大流行が始まって以降、医療機関は同ウイルスの感染症例に人員を優先的に割り振っており、専門家らは、ポリオや結核といった他の感染症への対策プログラムが厳しい状況に置かれる可能性があると警告していた。

 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は高齢患者の重症化が極めて顕著である一方、はしかを含む多くの伝染病は特に子どもが犠牲になりやすい。

 ユニセフやWHOなどが参加する「はしか・風疹イニシアチブ(M&RI)」は共同声明で、現在の新型コロナウイルスの世界的な大流行の最中とその収束後にも、予防接種の取り組みが維持されることが不可欠だと強調。

 M&RIも「新型コロナウイルス感染症のリスクが高い場所においては、大規模な予防接種活動を中断して地域社会と医療従事者らを守る必要性には賛同する」ものの、「だからといって、子どもたちはいつまでも予防接種をしなくてもよいという意味に捉えてはならない」と指摘した。(c)AFP/Patrick GALEY