【4月9日 AFP】化学兵器禁止機関(OPCW)は8日、2017年にシリアで起きた3回の化学兵器攻撃について、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権軍が関与したとする報告書を発表した。OPCWが化学兵器使用の責任者を明示するのは初めて。

 OPCWは、9年に及ぶシリア内戦における化学兵器使用の責任者を特定するために新たに調査班を設置。今回の調査結果は、この調査班の最初の報告書で明らかとなった。

 この報告書を受け、欧米諸国と人権団体はシリア政権を非難。報告書は、今後の対応などを検討するために国連(UN)などに送られる。

 報告書によると、シリア空軍の戦闘機は2017年3月24日と30日、北部の村ラタミナ(Lataminah)でサリンを含む爆弾2個を投下。さらに同25日には、同軍のヘリが塩素ガス入りのたる爆弾を同村の病院に投下した。OPCWによると、これらの攻撃で計106人が被害を受けた。

 OPCWによると、調査班は「2017年にラタミナでサリンと塩素ガスを化学兵器として使用した攻撃の責任者が、シリア・アラブ共和国空軍に属する人物であると考える合理的な根拠があると結論付けた」という。

 オランダ・ハーグ(The Hague)に拠点を置くOPCWの加盟国は2018年、シリアと同盟国ロシアが反対したにもかかわらず、化学兵器攻撃の責任者を特定するため、OPCWに新たな権限を付与することで合意した。OPCWはそれまで、化学兵器攻撃が起きたかどうかについて言及するのみで、攻撃の責任者を明示することはできなかった。(c)AFP/Jan HENNOP and Charlotte VAN OUWERKERK