【4月7日 AFP】結核を予防するために数十年間にわたり利用されている一般的なワクチンが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から医療従事者を守る助けになり得るだろうか──。

 新型コロナウイルスに特化した予防接種が開発されるまでには、まだしばらく時間がかかると予想されている。そうした状況において、抗結核ワクチンBCGが有する潜在的な有効性についての調査が進められている。BCG接種は世界中で多くの人が子どもの時に受けている。

 BCGワクチンを接種している子どもは、COVID-19とは別の呼吸器疾患に罹患(りかん)しにくい。BCGまた、一部ぼうこうがんの治療にも用いられているほか、1型糖尿病などの自己免疫疾患やぜんそくなどの予防にも効果がある。

 そのため研究者らは、新型コロナウイルスに対しても、感染リスクの軽減や症状の重症化を抑えるといった効果がBCGにあるかどうかを検証したい考えだ。

 仏国立保健医学研究所(INSERM)のカミーユ・ロクト(Camille Locht)氏はAFPの取材に対し、BCGワクチンの全例接種が2007年まで実施されていたフランスでは、「調査対象者の大半が初回のワクチン接種をすでに受けていることになる」と話した。ただ、その予防効果が時間とともに低下することにも触れた。

 ロクト氏は、BCGワクチンに何らかの効果が確認された場合は、COVID-19に対処する取り組みの最前線にいる医療従事者を「最初の対象」にすべきとの考えを示している。しかし、臨床試験の詳細について取りまとめを行っている同氏の考えとは逆に、BCGが予防効果をもたらすとの考えには依然として慎重な見方を示す専門家らもいる。

 そうした中でオランダ・ラドバウド大学(Radboud University)が最近、同国のユトレヒト大学(Utrecht University)と協力して医療従事者数百人を対象とする臨床試験を実施すると発表した。ラドバウド大のミハイ・ネテア(Mihai Netea)教授(実験内科学)は、「この調査を行う理由がまさにそれ(考え方の相違)だ」と話す。