【4月7日 AFP】オーストラリアにある世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)の白化現象が、過去最大範囲に広がっている。科学者らが7日、気候変動の深刻な影響について切実に訴えた。

 豪ジェームズクック大学(JCU)のテリー・ヒューズ(Terry Hughes)教授によると、先月行われた広範囲にわたる調査の結果、海水温の記録的な上昇によって、わずか過去5年の間に全長2300キロに及ぶサンゴ礁の3分の1が白化現象に見舞われたことが明らかになった。

 白化現象は、健康なサンゴが海水温の変化でストレスを受けると体組織内に生息する藻類が追い出され、鮮やかな色を失うことで起こる。

 ヒューズ氏は「3月の後半の2週間で、白化現象の規模と深刻度を測定するため、グレートバリアリーフの1036か所のサンゴ礁を上空から調査した」と説明。「今回初めてグレートバリアリーフの北部、中部、さらに南部の大部分を含めた全域で、深刻な白化現象が発生していることが分かった」と明らかにした。

 グレートバリアリーフでは1900年以来毎月、海水温の測定記録が続けられているが、今年2月には過去最高の海水温が観測された。

 グレートバリアリーフはオーストラリア経済に毎年推定40億ドル(約4400億円)の観光収益をもたらしている。しかし気候変動による海水温上昇でサンゴ礁が被害を受け、世界遺産World Heritageとしての資格を失う恐れもある。(c)AFP