【4月6日 AFP】インドネシアに生息し、密猟や生息地の消失によって生息数が減少している絶滅危惧種のオランウータンにとって、新型コロナウイルスは新たな脅威となる恐れがある。

 新型コロナウイルスのヒトからオランウータンへの感染はこれまで確認されていないが、オランウータンが持つDNAはヒトのDNAと97%一致する。ジャングルに囲まれたカリマンタン(Kalimantan、別名:ボルネオ、Borneo)島にあるオランウータンのリハビリテーションセンターでは、スタッフが現在、感染防止に向け予防策を講じている。

 動物保護団体「ボルネオ・オランウータン・サバイバル・ファウンデーション(BOSF)」は、来訪者の施設訪問を中止し、スタッフにマスクと手袋の着用など、感染を防ぐための予防策の強化を指示。同団体の獣医師、アグス・イルワント(Agus Irwanto)氏は、「直接の感染は確認されていないが、オランウータンの飼育員が使うマスクや消毒液が不足するなど別の問題が生じている」と述べた。

 オランウータンにとっては、ジャングルでの日々の遊びに大きな変化があるわけではない。BOSFは「リハビリ施設で働く人間はこれら新たな対策に適応するため努力しているが、オランウータンは普段通りの生活を続けている」と述べた。

 ヒトから霊長類への感染が懸念されているのは、インドネシアだけではない。フランスの動物園でも、飼育員がゴリラやチンパンジーと一定の距離を維持し予防策が講じられている。

 映像はBOSFが3月20、21日撮影・提供。(c)AFP