【4月2日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は1日夜、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受けて封鎖されている地区で「問題」を起こす者がいれば射殺すべきだと、治安部隊に指示した。

 人口約1億1000万人の同国では、現在およそ半数が隔離下にある。この中には、厳しい移動制限により失業した数百万人の貧困層も含まれている。

 ドゥテルテ大統領がこの指示を出した演説の数時間前には、首都マニラで、政府が貧困層への食料支援を怠っていると糾弾する抗議デモを行ったとして、スラムの住民約20人が逮捕されていた。

「警察と軍、そして自治体関係者らに命令する。問題が起きた場合、あるいは人々が争い自分の命が危険にさらされる事態になった場合は、射殺するように」と述べた大統領は、「問題を起こす代わりに、私はお前らを墓に送る」と言い放った。

 フィリピンでは、これまでに2311人の感染が確認され、96人の死亡が報告されているが、同国は検査を強化し始めたばかりで、感染者数は増え続ける見通し。

 ただアーチー・ガンボア(Archie Gamboa)国家警察長官は2日、「恐らく大統領はこの危機的状況を踏まえ、法の適用について改めて強調したまでだろう」との見方を示し、警察官らが問題を起こした市民を実際に射殺することはないと話した。(c)AFP