【3月31日 AFP】南アフリカの警察監察機関、独立警察調査局(Independent Police Investigative Directorate)は30日、新型コロナウイルスの感染拡大抑止策として施行された外出禁止令に違反した男性を殺害した疑いがあるとして、警官1人を調査していることを明らかにした。

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 この警官は29日、労働者階級が多く住むヨハネスブルク東部郊外のボスルーラス(Vosloorus)を巡回中、外出禁止令に違反したとみられる男性をバーから自宅まで尾行し、殺害したとされる。

 調査局は「死亡した男性は自宅ベランダまで後をつけられ、そこで射殺された疑いがある」と発表した。5歳から11歳の子ども3人も巻き込まれ負傷したという。この事件で警官と民間の警備員各1人が殺人容疑で逮捕された。

 事件を受けて、ノシビウェ・マピサ・ヌカクラ(Nosiviwe Mapisa-Nqakula)国防相は30日、外出禁止令に伴う治安部隊の取り締まり方法が高圧的だと非難した。

 ソーシャルメディアには、治安部隊が外出禁止令に違反した市民にスクワットをさせたり、地面を転げ回らせたりする様子を捉えた複数の動画が投稿されている。

 国防相は現地テレビ局「ニューズルーム・アフリカ(Newzroom Afrika)」とのインタビューで、動画のうち「拡散した二つでは、明らかに職権乱用があったことが分かる」と批判した。
  
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)の南アフリカ支部代表シェニーラ・モハメド(Shenilla Mohamed)氏は、「市民に外出禁止令を守らせることは緊急かつ重要ではあるが、暴力に頼っては何も達成できない」と訴えた。

 同氏はさらに「暴力で市民を傷つけ、けがをさせることになれば、すでに負担過剰となっている医療現場にさらに負荷をかけることになる」とも指摘した。(c)AFP/Susan NJANJI