【3月31日 AFP】イングランドサッカー界の主要な利害関係者は来月3日に会合を行い、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって中断となった今シーズンを救済する選択肢について協議する。

 今季のプレミアリーグは少なくとも4月30日までは延期になっているが、5月に再開する可能性は低いとみられている。

 どのようにしてシーズンを終わらせるかについての話し合いの中で、検討される可能性があるさまざまなシナリオをAFPが詳しく見ていく。

■無観客開催でのシーズン再開

 一つの選択肢は、各クラブが中立地に集まり、残りの全試合を無観客で開催するというもの。必要最小限のスタッフと放送関係者だけがスタジアムへの入場を認められる。

 残り約9節分を6月と7月に一斉に行うとみられているこの案に対しては、各クラブから支持する声が高まってきているという。報道によれば、試合はロンドンとミッドランド(Midlands)の1、2か所で行うという。

 これによって選手と監督は、感染を避けるためにW杯(World Cup)のキャンプのように家族から隔離され、スタジアムやホテル、練習施設は徹底した衛生管理が行われる。

 このプランではさまざまな理由により、英国における今後2か月のウイルス検査で劇的な改善が起きることが重要となる。

 同国の新型コロナウイルス感染は6月にピークを迎えるとみられ、スポーツ界の中断は8月から9月まで続くかもしれないと伝えられている。

 少し待つことで今シーズンは完全な形で終えることができ、プレミアリーグは7億5000万ポンド(約1000億円)と推定される違約金をテレビ局に払う必要がなくなる。

 しかし、このプランは2020-21シーズンに大きな連鎖作用をもたらし、延期になった欧州選手権(UEFA Euro 2020)の準備のために来季は短縮という形になるかもしれない。

■シーズンの中止

 プレミアリーグにとっては最悪のシナリオになるが、いくつかのクラブは今シーズンの即刻中止を望んでいると報じられている。

 米ウェブサイトのジ・アスレチック(The Athletic)によれば、プレミアリーグの幹部は「現時点では余地がない」と確信しているという。

 イングランドサッカー協会(FA)のグレッグ・クラーク(Greg Clarke)会長は今月初め、今季は全日程を消化できないと考えていることをプレミアリーグ側に話したと伝えられている。

 シーズンの終了を発表すれば、順位が重要視されるか否かにかかわらず、多くのクラブが法的措置を取ることになるかもしれない。

 首位リバプール(Liverpool FC)は1989-90シーズン以来となるリーグ優勝にあと2勝と迫っており、2位マンチェスター・シティ(Manchester City)に25ポイント差をつけている。

 シーズンが途中で終了し、リバプールを優勝扱いにすることが同意されなかった場合、同クラブの30年ぶりとなるリーグ制覇の望みはついえることになる。

 現在トップ4に入れていないマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)やウォルバーハンプトン・ワンダラーズ(Wolverhampton Wanderers)、シェフィールド・ユナイテッド(Sheffield United)、トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)も、欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2020-21)に出場する可能性を与えられなかったのは不公平だと、確実に主張するだろう。

 アストン・ビラ(Aston Villa)とノリッジ・シティ(Norwich City)、ボーンマス(AFC Bournemouth)は降格となるが、ビラは消化試合数が一つ少ないことを指摘するはずだ。ビラはその試合に勝利すれば、ワトフォード(Watford FC)を上回って降格圏を脱することができる。

 またチャンピオンシップリーグ(2部)では、リーズ・ユナイテッド(Leeds United)とウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(West Bromwich AlbionWBA)が1位と2位につけているが、仮に「無効の」裁定が下り、自動昇格がなくなればこの2チームは強く反発するだろう。 (c)AFP/Steven GRIFFITHS