【3月31日 Xinhua News】中国科学院紫金山天文台は25日、中国や米国、フランス、ドイツなど8カ国の研究者が共同で、宇宙の神秘とされる巨大ガス天体「ライマンアルファ・ブローブ(LAB)」の発生について解明したと発表した。研究は銀河系を含む数多くの銀河がどのように形成されたのかを知る上で重要な意義を持つ。

 巨大なガス雲であるLABは、宇宙に浮かぶ巨大なシャボン玉のように内部にガスが充満している。この「巨大な気泡」の体積は銀河系の数倍で、地球から大きく離れており、太陽の数十億倍の明るさを持つ。このガス雲には銀河の形成や消滅に関する重要な情報が秘められており、ここ数年、天文学者がLABの起源の謎を解明しようと力を注いできた。

 今回、研究チームはヨーロッパ南天天文台がチリに設置した超大型望遠鏡(VLT)と、チリにあるアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を使い、107億年前につる座方向に発生したLABを観測。ガス雲内部でガスが中心に向かって下降する珍しい現象を捉えた。

 研究チームはガスのスペクトル線と成分分析により、LABの巨大なエネルギーが、中心で恒星を生み出している銀河から生じており、中心に向かって下降するガスが、銀河間の物質から発生していると判断した。大量の恒星を生み出す銀河は、その周囲に数十万光年も続く「巨大な気泡」を発生させる機会があり、銀河間の高温ガスが冷却されると、引力によって中心に向かって引っ張られ、これが気泡の中心で下降するガスの流れを作っている。

 チームを率いる紫金山天文台の敖宜平(Ao Yiping)研究員は、中心に向かうガスの流れが、銀河の形成と特に密接に関わっており、銀河の成長や変化の鍵となる情報を持つ可能性があると指摘。LABについてはまだ謎が多いが、研究が進むにつれさらに詳しい内容が判明するとし、この宇宙の「巨大な気泡」を通じて、銀河の変化の謎が解明できるかもしれないと述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News