【3月20日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)の元選手で、アジア系米国人として初めてNBAファイナル制覇を経験したジェレミー・リン(Jeremy Lin)は、同国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が新型コロナウイルスを中国ウイルスと呼んでいることが、人種差別を「助長させている」と強く批判した。

 2012年のニューヨーク・ニックス(New York Knicks)時代に「リンサニティー(Linsanity)」と呼ばれる大旋風を巻き起こした31歳のリンは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)を「中国ウイルス」と繰り返しているトランプ大統領に対して、自身のツイッター(Twitter)で猛反発した。ホワイトハウス(White House)は大統領のこの表現について、特定の地域にちなんだ呼称が付けられている他の病気と比較して使用していると擁護している。

 リンは「このウイルスの間違った扱いによって、あなたが助長している人種差別の影響を受ける弱い立場の人々に対して、力強い支援をしてくれるように願っている」とすると、「ドイツ麻疹(はしか)とかスペイン風邪とかいう言葉はもう聞きたくない。なぜなら、アジア系米国人は自分が知っている人たちを含めて、日常的に脅されたり身体的な暴力を受けたりしている。名前の由来なんて、今となってはどうでもいいことだ」とつづった。

「自分が知っているのは、こういうちょっとした反中国的メッセージが、アジア人への憎悪を助長するだけだということだ」

 また、トランプ大統領を擁護するユーザーの書き込みに対しては、「このウイルスに対する彼の表現の中に、反中国感情がゼロだと心から言えるのか?」「米国において、アジア人が不当に身体的暴力を受けていないと本当に言えるのか? コロナウイルスとかCOVID-19という言葉を使うのが、そんなに難しいことなのか? 自分たちは、一つの危機において責任のなすり合いをしている」とやり返した。

 中国系米国人もしくは台湾にルーツを持つ選手として初のNBAプレーヤーとなったリンは、スターに成長したニックスをはじめ、ヒューストン・ロケッツ(Houston Rockets)、ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)、シャーロット・ホーネッツ(Charlotte Hornets)、ブルックリン・ネッツ(Brooklyn Nets)、アトランタ・ホークス(Atlanta Hawks)などを渡り歩き、昨季はトロント・ラプターズ(Toronto Raptors)で優勝メンバーの一員となった。(c)AFP