【3月11日 AFP】世界で最大かつ最も豊かな生態系を誇る南米アマゾン(Amazon)の熱帯雨林が、いったん超えてしまえば50年以内に乾いた草原と化す「限界点」に近づいていると指摘する研究論文が10日、学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」に発表された。

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 筆頭著者は、英バンガ―大学(Bangor Universit)のサイモン・ウィルコック(Simon Willcock)氏。

 論文は、もう一つの重要な生態系であるカリブ海(Caribbean Sea)のサンゴ礁に言及。カリブ海のサンゴ礁は限界点を超えた場合、15年とかからずに死滅する可能性があるという。

 国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、気温が産業革命前に比べて1.5度上昇すれば、世界の浅海に生息するサンゴの9割が死滅する。2度上昇すれば、ほぼ絶滅するという。地球の表面温度はすでに1度超上昇している。

 アマゾンの限界点はカリブ海のものほど明確ではないが、科学者らの推定によると、森林面積の35%が失われれば、最終的な消滅につながるとみられている。

 1970年以降、主に材木や大豆、パーム油、バイオ燃料、牛肉を生産するため、アマゾン盆地の熱帯雨林の約20%が失われてきた。

 論文によると、アマゾンの生態系は早ければ来年にも、限界点を超える可能性があるという。

 先週発表された別の研究論文は、世界の熱帯林で、化石燃料の燃焼によって排出された温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を吸収する能力が急速に失われており、アマゾンの熱帯雨林はCO2の「吸収源」から一転して「発生源」となりつつある。(c)AFP/Marlowe HOOD