【3月9日 AFP】公共トイレを使おうと自宅の外に出た高齢男性が、着用を義務付けられたマスクをしていなかったために警察車両に乗せられ、隔離施設に連れて行かれた──中国・河北(Hebei)省での出来事を映した動画は、ソーシャルメディア上で広く共有された。

 中国では、当局の新型コロナウイルス対策をめぐり、恣意(しい)的な措置が横行していると怒りの声が高まっている。

 国内感染者が8万人を超え、死者3000人以上を数える中、対応の遅さで批判を浴びた中国当局はここ数週間にわたり対策を強化している。だが、共産党指導部の命令を実行する地域委員会の取り組みに対し、行き過ぎだとの批判も相次ぐ。

 北京在住の女性(29)は、市外に出掛けていたルームメートが帰宅した直後に隔離対象とされ、自宅前の共用廊下に一歩出ることすら禁止されたとAFPに明かした。自宅の玄関ドアには「ここの住民は現在隔離中。監視してください」と近隣住民に呼び掛ける警告文が張られたという。「屈辱的だ」と、この女性は非難した。

 流行中心地の湖北(Hubei)省で、隔離中の親族3人でマージャンをしていたら感染対策要員から叱責されたという動画も、インターネット上で拡散された。互いが接近しすぎているとの理由とみられる。

 また、北京近郊に住む男性(29)は、湖北省生まれだというだけで「6か月前から帰省していないのに」地元当局から自宅隔離措置を命じられたと語った。「彼らは上からの命令だと言い、良くない措置だと認めていた。だが、命令は命令だ」

 こうした中、電子商取引(EC)大手のアリババ(Alibaba、阿里巴巴)とIT大手の騰訊控股(テンセント、Tencent)は、多数の地方自治体と共同で、隔離の目安を表示するスマートフォンアプリを開発した。メタデータを使用し、ユーザーが隔離されるべきかを測定。QRコードが緑色で表示されれば隔離の必要はないが、黄色や赤色で表示されたユーザーは隔離が必要だという。(c)AFP/Ludovic EHRET