【3月8日 AFP】新型コロナウイルスへの感染が拡大しているギリシャで、正教のイースター(Easter、復活祭)を4月に控え、強い影響力を持つ正教会と医師団体が衝突している。

【写真】 「新型コロナウイルス形」イースターエッグ

 ギリシャの公衆衛生当局EODYは7日、新たに21人の感染が確認されたと発表。国内の感染者は計66人となった。高齢男性1人が急性肺炎で入院している他、22人が現在治療を受けている。

 ギリシャでの感染例の大半は、先月イスラエルとエジプトの聖地を巡礼してきた一つのグループに集中している。

 しかし、正教会側は例年通りに礼拝を行うとの立場を固守している。感染者が集中している地域の一つ、パトラ(Patras)の司祭は現地テレビ局に、「教会を閉鎖することや、聖体拝領を行わないというのは不可能だ」と訴え、「信仰があれば恐れることはない」「聖体拝領によって病気が広がったという例は、数世紀にわたってない」と語った。

 また北部ランガダ(Langada)の司祭は、聖体拝領で用いる「ワインにはアルコールが含まれている。アルコールの中でウイルスは生き延びられない」と述べた。

 ギリシャ保健省は先週、カーニバルの祝典すべてを中止。さらに今週に入り、感染例の多い西部3県で屋内集会を禁止すると発表した。しかし、教会での礼拝についてはこれまでのところ各教区が警告を発するのみに任せている。

 主要野党の急進左派連合(SYRIZA)はこれを批判。SYRIZA政権で保健副大臣を担当したパブロス・ポラキス(Pavlos Polakis)氏は今週議会で「カーニバルのような集まりを中止しておきながら、教会で人々が同じスプーンから(ワインを)飲むのを認めるというのはどういうことか」と非難した。

 またSYRIZA党首で前首相のアレクシス・チプラス(Alexis Tsipras)氏は教会が警告を発していないことについて、「非科学的で時代錯誤。公衆衛生に対する脅威だ」と非難している。(c)AFP