【3月3日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン（Recep Tayyip Erdogan）大統領は2日、移民「数百万人」が同国経由で間もなく欧州に向かうと警告した。欧州連合（EU）の指導者らは、トルコのシリア侵攻を支持するようEUに圧力をかけているとして、エルドアン大統領を非難している。

　トルコは先月末、難民や移民がトルコ経由でEUに向かうことを容認する可能性を示唆。以降、ギリシャと接しているトルコの国境地帯には大勢の移民が集まっており、2015年に欧州で政治問題となった移民の大量流入に発展するのではないかとの懸念を引き起こしている。

　ドイツのアンゲラ・メルケル（Angela Merkel）首相は、トルコの動きは「受け入れ難い」とコメント。欧州委員会（European Commission）のマルガリティス・シナス（Margaritis Schinas）副委員長は「何者もEUを脅迫したりどう喝したり」することはできないと述べた。

　エルドアン大統領は2日夜にもさらにEUに対する圧力を強め、2016年に合意した移民支援金60億ユーロ（約7200億円）に10億ユーロ（約1200億円）を追加するというEUの提案を却下したと発表した。エルドアン氏は記者会見で「この金は要らない」と述べたが、追加支援金がいつ誰によって提案されたのかは明らかにしなかった。

　トルコ大統領府は後に、エルドアン氏がメルケル氏と電話で会談していたことを明らかにした。その中でエルドアン氏は再度、欧州は移民対応の「負担を公平に分け合う」必要があると警告したという。

　エルドアン氏は、トルコの対ギリシャ国境地帯にいるアフガニスタンやシリア、イラクなどからの移民の数は、当局の報告や現地記者の報道よりもはるかに多く、すでに「数十万人」に上っていると主張。「間もなく、その数は数百万人に上るだろう」と述べている。

　約400万人の移民を抱えるトルコは、シリアからのさらなる難民流入を阻止しようとしている。シリアでは反体制派の最後の拠点となっている北西部イドリブ（Idlib）県で、シリア政権軍がロシア軍の空爆支援を受けて攻勢に出ている。一方でシリア反体制派を支援するトルコも、シリア政権軍を押しとどめるためにイドリブで軍事作戦を開始している。しかしロシア、トルコ両国は、シリアの対抗勢力をそれぞれ支援しながらも直接対決は回避したがっている。

　その間、シリア政権軍の攻撃により、過去9年間のシリア内戦でも最大級の100万人近い避難民が発生しているが、トルコへの入国は許可されていない。(c)AFP/Gokan GUNES