【4月5日 AFP】西インド洋の島国セーシェルの象徴でもあるココ・デ・メール(フタゴヤシ)は、世界最大の種子を持つ。その種子は女性の臀部(でんぶ)を連想させる形から、生殖力にまつわる神話をもたらした。

 その印象的な形から、何世紀にもわたり、ココ・デ・メールにまつわる多くの神話や謎が生まれ、伝えられてきた。多くの実が収穫、利用され、ココ・デ・メールは今や絶滅の危機にさらされている。2011年以降、国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」に掲載されており、現在は政府による厳格な規制で、収穫は年2000個未満となっている。

 
 ココ・デ・メールの木は、セイシェルのプララン島(Praslin)とキュリーズ島(Curieuse)の2島でのみ生育している。

 クリストフ・ブリストル(Christophe Bristol)さんは作業場で10キロの実を足に挟み、木づちやのみを使って貴重な仁を取り出す。種子の中身を取り出すためにはまず、溝に沿って殻を半分に切る。

「ココ・デ・メールを割って中身を取り出すのに20分くらいかかる」とブリストルさんは語り、殻が硬くいかに割れにくいか説明した。「通常のヤシの実よりもはるかに難しい」

「これ(仁)をすりつぶして、ウイスキーなどのアルコールに入れて飲むと精力が付くという迷信がある」とブリストルさんは言う。

 仁を取り出した後の殻は元のように貼り合わせ、土産店で証明書を添えて販売される。価格帯は、3000~4000セーシェル・ルピー(約2万4000~3万2000円)だ。

 ディディエール・ドグリー(Didier Dogley)観光相によると、ココ・デ・メールの仁は1キロあたり最大100ドル(約1万1000円)になるという。(c)AFP/Nicolas DELAUNAY