【2月28日 AFP】蛍光を発する両生類が、従来考えられていたよりもはるかに多く存在する可能性があるとの研究結果が27日、発表された。両生類の蛍光を発する能力については、薄暗い生息環境において互いの位置を知る助けになる可能性が示唆された。

 米セントクラウド州立大学(St. Cloud State University)のジェニファー・ラム(Jennifer Lamb)氏とマシュー・デービス(Matthew Davis)氏の研究チームは、カエル、サンショウウオ、イモリ、ウナギなど32種の生物に青色光や紫外線光を照射する実験を行った。その結果、両生類では「生物蛍光」として知られる作用で鮮やかな蛍光色の模様の光を放つことが確認された。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系列のオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された最新論文によると、生物が放つ蛍光色の模様は、斑点やしま模様から骨、さらには体表全面が蛍光を放つものとさまざまで、色合いも緑色、オレンジ色、黄色など多様だったという。

 中には皮膚の分泌物や尿が蛍光緑色を放つ生物もいた。

 生物が光エネルギーを吸収した後に蛍光を発する作用の生物蛍光については、今回の研究が行われるまで、両生類ではサンショウウオ1種とカエル3種でしか観察されていなかった。

 生物蛍光は、皮膚や骨に蛍光タンパク質が存在することによるさまざまなメカニズムを通じて起こる。また両生類の中には、色素を内包して光を反射する「色素胞」と呼ばれる細胞を持つものもいる。

 論文によると、両生類の多くは夜行性で密林の中に生息しているため、蛍光を発する能力は互いを見つけ合う助けになる可能性があるという。両生類の目には、緑色や青色の光に感受性を示す棒状の光受容細胞の桿体(かんたい)細胞がある。

 また、生物蛍光によって両生類の体と周囲の環境との間のコントラストが強くなることで、別の両生類の生物にとっては判別が容易になることも考えられる。

 他の生物種の蛍光発光については、擬態や繁殖相手へのアピール、天敵の外見を模倣するなどの助けになっていることがこれまでの研究で明らかになっている。

 2019年には米国のある研究チームが、サメの一種「ナヌカザメ」の蛍光発光に関与する分子を発見した。研究チームが立てた仮説によると、ナヌカザメの蛍光は仲間を特定する以外に、微生物感染の防止などの機能を果たしている可能性があるという。(c)AFP