【2月27日 AFP】スウェーデンのユッカスヤルビ(Jukkasjarvi)の森の中にある、氷でできた「アイスホテル(IceHotel)」。運営30年の節目を迎えた同ホテルには毎年、氷でつくられた廊下や寝室、チャペルを一目見ようと、多くの観光客が訪れる。

 北極線からさらに北へ約200キロ進んだ地点にある同ホテルは1989年、観光客の誘致のために建設された。毎年10月になると、近くのトルネ川(Torne River)から運ばれた氷で建設作業が行われる。来訪客は毎年約5万人で、氷でできたシャンデリアや飾られた寝室の写真を撮る人々の姿が見られる。

 客室は35室で、室内は氷点下5度まで冷え込む。バーでは、氷のグラスで提供される飲み物を楽しむことができる。宿泊価格は、ストックホルムの三つ星ホテルの平均価格の約3倍以上で、毎年およそ2万人が宿泊する。

 しかし、ガイドのユリア・ハンサーズ(Julia Hansers)さん(25)は、来訪客は寒さよりも静けさに驚くという。

「来訪客の多くが都会に住んでいます。いつも周りでは何かしらの物音や雑音が聞こえますが、アイスホテルの中は物音一つ聞こえません」と、防寒用の帽子をかぶったハンサーズさんは言う。

 2016年から、アイスホテルはソーラーパネルを導入。太陽光による電力で、20室の室温を一年中氷点下に維持し、運営している。その他の部分は春になると閉館し、解けて川に戻る。(c)AFP