【2月27日 AFP】新型コロナウイルスの急速な感染拡大を阻止するために行われている世界的なスクリーニングの取り組みについて、失敗する可能性が高いと結論付けた研究論文が、科学誌「eLife」に発表された。航空旅客を対象としたスクリーニングは、どんなにうまくいったとしても、感染者の過半数を見逃すと警鐘を鳴らしている。

 研究論文を発表した英米の研究チームは新型ウイルスへの主要な対抗策となっているサーモグラフィーや問診票を使ったスクリーニングの効果について、新型コロナウイルスの性質や潜伏期間に関する最新のデータに基づき、コンピューターモデルを使って予測した。

 研究チームは、2015年に発表された類似の研究を踏まえた上で、多数の感染者の見逃しは避けられないと結論付け、旅行者のスクリーニング方法を再考するよう各国に求めた。

 米シカゴ大学(University of Chicago)の博士研究員で論文の筆頭著者のケイトリン・ゴスティック(Katelyn Gostic)氏はAFPに対し、「平均すると、スクリーニングでは(新型コロナウイルスに)感染している旅行者の約3分の2が見逃されると推定される」と述べた。

 コンピューターモデルの予測によると、感染しているが発症していない「無症状」の患者が20人に1人のみという最善のケースを想定した場合でさえ、53%の感染者が見逃される。

 世界保健機関(WHO)によると、新型コロナウイルスの潜伏期間は、通常で10~14日。つまり、感染者は知らず知らずのうちに他の人に感染させてしまう可能性があり、明らかな発熱を確認するための体温検査や、ウイルスへの暴露の自己申告はほぼ無意味だ。(c)AFP/Patrick GALEY