【2月19日 Xinhua News】日本人俳優の矢野浩二(Koji Yano)さん(46)は、故郷で何度も桜の花を見たことがある。だが今は、中国湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)で花見をするのが夢だ。

 新華社(Xinhua)のインタビューに応じた矢野さんは、「新型コロナウイルスによる肺炎の流行が収まったら、武漢に行って、日本酒を飲みながら桜の花を見たい」と語った。

 新型コロナウイルス流行の中心地である武漢では、16日時点の感染者数が3万9462人に上り、中国全体の感染者数の半数以上を占めている。

 矢野さんは、中国の映画やテレビドラマに多数出演しており、中国で最も人気が高い日本人俳優の一人だ。新型肺炎の流行後、すぐにマスク13万枚を武漢に寄贈したことがインターネットで話題となり、中国ソーシャルメディア大手の新浪微博(ウェイボー、Weibo)には、中国国内のネットユーザー数千人から感謝の声が寄せられた。

 矢野さんは武漢に数人の友人がいて、妻の家族も重慶市(Chongqing)にいると明かし、「ニュースで(新型肺炎の)流行を知って、とても心配になった」と話している。

 矢野さんは、新型肺炎との闘いを支援したいと思い、日本の友人に依頼してマスクを購入。感染に立ち向かう人々に寄贈した。

 中国人ユーザーらからの感謝のメッセージを読み、「やるべきことをやっただけ」と話す矢野さんは、「2000年に中国で仕事を始めた。これまで多くの中国人から支援されたり、勇気づけられたりした。そうした支えがなければ、今の私はないだろう。中国や中国の人々に感謝している」と語った。

 矢野さんはまた、「中国がこれほど困難な状況にあることを悲しく思う」と話し、「実際、私がしたことはたいしたことではないけれど、中国の友人らが、少しでも温かみを感じてくれたのなら幸せだ」と続けた。

 インタビューを依頼した当初、矢野さんは「中国の人々が新型肺炎の流行と闘っている時に、外国人俳優が話をするべきではない」とためらった。

 しかし、感染拡大によって中国人と日本人の間の距離が縮まったことを喜んでもいる。東京の観光名所スカイツリーの「がんばれ、中国」という意味が込められたイルミネーションから、中国へ寄贈された箱入りマスクに添えられたメッセージに至るまで、日本の人々は時宜を得た支援と励ましの言葉で中国の人々を感動させた。

「今は多くの日本人が中国文化を好きだし、中国で起きていることを心配している」「私たちの国は隣人同士、互いに助け合うべきだ。私たちが困難な時、中国も支援してくれた」

 矢野さんは現在、日本で刑事ドラマの撮影を行っている。3月に映画製作に参加する予定だったが、新型コロナウイルスによる肺炎の流行により延期になっている。

 自身の作品がいつ上映されるか分からない中で、矢野さんはソーシャルメディアで感染を予防するようユーザーらに呼び掛けている。「手をよく洗い、マスクを着け、十分な休息を取って」「家に閉じ込められて退屈かもしれないけれど、実際、やることはたくさんある。練習したり、新しいことを学んだり、読書したり、普段時間がなくて見られない映画を見たり。困難な時期はいつか終わるでしょう」

 武漢には以前行ったことがあるという矢野さん。「仕事で訪れ、約1週間滞在した。郷土料理を食べたら、とてもおいしかった。忙しくてあちこち見て回れなかったのは残念だ」「新型肺炎の流行が収まったら、絶対にもう一度行きたい」「桜の木の下に座り、美しい花を楽しみたい」と話した。(c)Xinhua News/AFPBB News