【2月16日 AFP】 イラクの首都バグダッドの米大使館付近で16日、複数回にわたりロケット弾による攻撃があった。

 AFPの取材に応じた米関係筋や欧米側の外交官によると、この攻撃で米大使館の警告サイレンが鳴り響いたが、攻撃を受けた施設や着弾数は不明。これまでのところ死者の報告はないという。

 AFP特派員らによると、米大使館など外交施設が集中しているバグダッドのグリーンゾーン(Green Zone)一帯で大きな爆発音が複数回聞こえたという。

 イラク国内各地にはイラク軍を支援するために米軍5200人が駐留している。昨年10月以降、米大使館や駐留米軍を標的とした攻撃が相次いでおり、今回の攻撃で19回目となる。

 これまでの攻撃で犯行声明が出たことはないが、米国は、イラクの治安部隊と公式に協力関係にあるイスラム教シーア派(Shiite)武装勢力の連合体「人民動員隊(Hashed al-Shaabi)」傘下にあって、イランの支援を受けている複数の組織による攻撃だと主張している。

 昨年12月末にはイラク北部K1基地を狙ったロケット弾による攻撃で、民間業者の米国人1人が死亡した。米政府はこれを受け、イラク西部で人民動員隊関係の過激派拠点の一つに対し報復攻撃を実施。それから数日後には、バグダッド近郊でのドローン攻撃で、イランのガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官とその右腕に当たる人民動員隊のアブ・マフディ・ムハンディス(Abu Mahdi al-Muhandis)副司令官を殺害した。

 そのため人民動員隊傘下の複数の組織が、2人の死に対する報復を宣言。そうした武装組織の一つ、ハラカット・ヌジャバ(Harakat al nujaba)は数日前、イラクから米軍を撤退させる「カウントダウン」だとし、ツイッター(Twitter)の投稿で、米軍車両だとする写真と一緒に「おまえたちが思っている以上にわれわれは近くにいる」と警告した。 (c)AFP