【2月19日 CNS】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、先月23日に中国・武漢(Wuhan)が「封鎖」されて以降、多くの不動産企業の販売実績はほとんどゼロに近い。中国の1000社を超える不動産販売店は閉鎖、現場は施工停止となり、引き渡しや支払いなども止まったままだ。専門家によると、「ゼロ成約」の状態はまだ続くという。

 不動産開発業にとって、取引停止の後にあるのは資金繰りの悪化で、特に負債の大きい企業にとって流動性リスクが顕著となる。ウイルスとの闘いの中で、不動産業は生き残るために何をすべきなのかを聞いた。

■土地の取得は慎重に

 広東省(Guangdong)居住建物政策研究センターの李宇嘉(Li Yujia)首席研究員は「不動産開発企業にとって2020年は債務返済がピークとなる年であり、資金繰りの安全を確保するため、支出削減は必須となり、多くの企業は土地の取得を減らしている」と語った。

 不動産業の負債規模は、2018年末の時点で約89兆元(約1400兆円)だった。中国指数研究院(China Index Academy)の統計によると、2020年の不動産業の債券(海外債を含む)償還規模は7493億9000万元(約11兆8000億円)で、2021年の償還規模は1兆元(約15兆8000億円)を超える。

 同研究院の李建橋(Li Jianqiao)研究総監によると、資金圧力の大きい企業にとっては、今の状況で土地を取得することには多くの不確実性があり、資金繰りリスクが高まるため、短期的に負債を増やすことは避け、土地の取得は3月以降まで待ったほうがよいという。

■融資を早める

 不動産企業の資金調達方法は二つあり、一つは販売による資金回収、もう一つは融資だ。販売が動かない状況では、融資を早めることが「命をつなぐ」一番の方法だ。中原地産(Centaline Property)の張大偉(Zhang Dawei)首席アナリストによると、不動産企業は現時点では極力融資に頼るべきという。

 政府から一定の積極的なシグナルが出ている点に留意すべきだろう。中国人民銀行は3日から4日にかけて、市場を安定させ市場への信頼感を高めるため、1兆7000億元(約27兆円)を市場投入している。

 もろもろのシグナルは、海外と中国国内を問わず、この段階で債券発行の機会があることを表している。不動産企業は現在の融資の窓口期を逃さず、債券発行を行い、資金繰り圧力を軽減すべきだという。

■場所を移し、ネット上で営業

 一部の少数の不動産購入希望者向けに、ネット上で物件を見る機会を増やし「頭金の分割払い」や「理由なく契約の取り消し可能」などの優遇策を打ち出すべきと前述の張大偉首席アナリストは強調する。

 統計によると「保利」「竜湖」「雅居楽」など40社余りの不動産企業が「オンライン不動産販売店」の運営を開始している。

 著名エコノミストの胡景暉(Hu Jinghui)さんは、新型肺炎の不動産販売に対する影響が1か月前後だとすれば、不動産企業が土地を購入し、施工を行い、販売をするまでの周期を1か月後ろにずらせばよいとの意見だ。

 目下、不動産企業としてできることは、まずオンラインに場所を移し、ネット上の販売店舗で人気インフルエンサーによる実況中継方式などを取り入れ、顧客の取り込みを図ることだとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News