【2月15日 AFP】英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」は14日、2019年の世界の防衛費は各国間の競争や紛争により増加し、前年比増加幅は過去10年で最大になったとする報告書を発表した。増加をけん引したのは米国と中国とされる。

 IISSが発表した世界各国の軍事力に関する年次報告書「ミリタリー・バランス(Military Balance)」によると、2019年の世界の防衛費は前年比で4%増加。原因としては大国間の競争、新軍事技術、ウクライナやリビアなどで続く紛争が挙げられた。また米国は中国が進める極超音速ミサイル開発などの軍近代化計画に対する警戒を強め、防衛費を増大させたと IISSは指摘している。

 米国の2019年防衛費は前年から534億ドル(約5兆8600億円)増加。この増加額は英国の全防衛費にほぼ匹敵する。米中の防衛費はともに6.6%増加し、米国は6846億ドル(約75兆1600億円)、中国は1811億ドル(約19兆8800億円)だった。

 ロシアをめぐる懸念が続く欧州の防衛費は4.2%増加。ただ、増加後の防衛費の額は、世界金融危機により予算が大幅に縮小する前の2008年と同じ水準に戻った形となっている。北大西洋条約機構(NATO)加盟各国は、米国の貢献に「ただ乗り」しているとの批判をドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領から受け、防衛費の増加に取り組んできた。(c)AFP/Damon WAKE