【2月4日 AFP】米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)は3日、南アフリカで進められていたエイズウイルス(HIV)の実験的ワクチンの臨床試験を中止すると発表した。感染防止に効果がないことが判明したためだ。

 2016年から開始されたこの臨床試験「HVTN 702」の対象となっていたのは、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)を引き起こすHIVに対してある程度の保護効果を提供することが明らかになっていた唯一のワクチン候補だった。このワクチン候補の効果は、2009年にタイで実施された初期の臨床試験で確認されていた。

 今回の臨床試験には、南ア全土の14か所でHIV陰性のボランティア約5400人が参加した。参加者は性的に活発な18歳~35歳の男女で構成されていた。

 参加者は、ワクチンもしくはプラセボ(偽薬)を18か月にわたり6回投与する計画のどちらかにランダムに振り分けられた。

 参加者の安全を確保するため、暴露前予防内服(PrEP)を含む、そのほかの予防措置も利用できるようにした。PrEPをめぐっては、毎日の服用でHIVの感染予防に高い効果を持つことが明らかになっている。

 研究では、開始から18か月後に両方のグループから集めたデータを分析した。18か月というのは、免疫反応を誘導するワクチン投与計画で最低限必要な期間だという。

 分析の結果、ワクチンを接種したグループでは129人、プラセボ投与のグループでは123人でHIVへの感染が確認された。これを受けて臨床試験の終了が決まった。

 ワクチン開発に向けて、この他にも複数の臨床試験が行われている。サハラ以南のアフリカと南アフリカで実施されているもの、北米、南米、欧州の複数の地域を対象にしているものもある。(c)AFP