【1月28日 AFP】東ティモールの海辺で多数のワニに子どもが襲われた時、マリオ・ダクルス(Mario Da Cruz)さんは恐怖のあまり、ただ見ていることしかできなかった。ワニの襲撃が急増する東ティモールで、また一人犠牲者が出てしまった。

「砂浜を歩いていると突然、ワニの集団が水から上がってきたのでパニックになって逃げた。1頭が足にかみついた」とダクルスさんは説明する。「小さな子どもが別のワニに襲われ、その場で命を落とした」

 ダクルスさんが暮らすロスパロス(Lospalos)では、ワニによる人間の襲撃が急増しているという。小舟で魚を取っている時や、水浴び、水くみなどの際に標的となる。

 オーストラリア・チャールズ・ダーウィン大学(CDU)の保全生物学者、サム・バンクス(Sam Banks)氏は「ここ10年のワニ襲撃数の増加は、かなり深刻だ」と指摘した。

 東ティモールでのワニ襲撃発生率は、1996年は1件未満だったが、入手可能な最新データである2014年には年間12件以上にまで急増している。

 東ティモールのワニ管理について調査しているドイツ・フライブルク大学(University of Freiburg)のセバスティアン・ブラックヘイン(Sebastian Brackhane)氏によると、ワニ襲撃急増によりその死亡リスクがマラリアの10倍にまで上昇したという。

「この問題は(東ティモールに)限定されるものではない。ソロモン諸島(Solomon Islands)やアンダマン諸島(Andaman Islands)など他の島々やインドネシアの複数の沿岸地域でも、人間とワニの衝突について同様の増加傾向を示している」と、ブラックヘイン氏は続けた。