【1月22日 AFP】(更新)中国では、大勢の人が移動する春節(旧正月、Lunar New Year)を目前に控え、武漢(Wuhan)で発生した新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念が増大している。

 新型ウイルスについて、これまでに分かっていることをまとめた。

■全く新しいウイルス

 このウイルスは、これまでに確認されたことがないコロナウイルス株とみられる。コロナウイルスは大型ウイルス群の一つで、風邪から重症急性呼吸器症候群(SARS)などさまざまな疾病を引き起こす可能性がある。SARSは2002~03年に中国本土で349人、香港で299人の死者を出した。

 仏パスツール研究所(Institut Pasteur)疫学部門長のアルノー・フォンタネ(Arnaud Fontanet)氏はAFPの取材に、現在流行している新型ウイルス株はSARSと遺伝子的に80%一致すると語った。

 中国はすでに、新型コロナウイルスのゲノム配列の解析結果を世界の科学コミュニティーに伝えている。

 現時点で新型コロナウイルスは「2019-nCoV」と呼ばれている。

■人から人への感染

 世界保健機関(WHO)は20日、動物が最初の発生源であると考えられると発表した。新型ウイルスが発生した武漢の当局は、市内の海鮮市場が感染の中心地であると特定している。

 中国はその後、この市場への立ち入りがなくても、新型ウイルスが人から人へ感染している証拠が存在することを確認している。

 英ロンドン大学キングスカレッジ(King's College London)のナタリー・マクダーモット(Nathalie MacDermott)博士によれば、くしゃみやせきなどの飛沫(ひまつ)を通じてウイルスが拡散している可能性が高いという。

■SARSより悪性度は低い

 SARSと比較すると、新型ウイルスの症状の悪性度は低いと思われる。だが、ウイルスの悪性度が低いことで、逆に感染が広がりやすいとの懸念もある。

 スイス・ジュネーブ大学(University of Geneva)のグローバルヘルス研究所(Institute of Global Health)代表アントワーヌ・フラオー(Antoine Flahault)教授はAFPの取材で、ウイルスの悪性度が低く、症状に気付く前に遠距離を移動できてしまうため、逆説的ではあるが通常よりも懸念されると語った。(c)AFP/Helen ROXBURGH