【1月21日 AFP】手術を受ける少なくとも4週間前に喫煙をやめることで、術後合併症のリスクが著しく減少するとの研究結果が20日、発表された。患者の血流が改善されることがその理由だという。

 世界保健機関(WHO)による研究は、習慣的に喫煙する人が小規模または緊急でない手術を受けるケースについて、患者が喫煙をやめるための猶予期間を設けることで、術後の傷の治りや心臓機能向上といった効果が期待できるとしている。

 WHOが、豪ニューカッスル大学(University of Newcastle)、豪州政府、世界麻酔科学会連合(WFSA)などと共同で実施した今回の研究では、4週間の禁煙後はその期間が1週間延びるごとに、術後の結果が19%向上することが明らかになった。

 たばこに含まれるニコチンと一酸化炭素(CO)が血中酸素濃度を低下させ、心臓に関連する合併症リスクを大きく高める恐れがあることも今回の研究で判明した。

 また、たばこの煙による肺の損傷が原因となり、適切な量の空気が取り込みにくくなることが指摘された他、喫煙が患者の免疫系の機能に影響を及ぼし、傷の治りが遅くなる可能性があることも明らかになったという。

 WHOは、「紙巻きたばこを1本吸うだけでも、術後の回復に必要な栄養を運ぶ人体の能力が低下する」と述べ、禁煙に対する認識を拡大し、禁煙を促進するために、世界の全ての国で禁煙プログラムと啓発活動を自国の医療制度に組み込むべきだと指摘している。(c)AFP