【1月21日 AFP】閉経期が近い女性で、高い頻度で性交渉を持っている場合は、それほど性的に活発ではない同年齢の女性に比べて閉経が遅くなるとの研究論文が15日、発表された。

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 英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に掲載された論文によると、平均して週に1回以上の性交渉を持つ女性は、性交渉の頻度が月に1回未満の女性と比べると、閉経期に入る割合が28%少なかった。

 英ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ(UCL)のミーガン・アーノット(Megan Arnot)氏とルース・メイス(Ruth Mace)氏の研究チームは、「中年期に差し掛かっている女性で、性交渉をほとんど持たないか、その頻度が低い場合、女性の体は妊娠する可能性につながる身体的な合図を受け取らなくなる」と、論文に記している。

 この説によると、こうした女性の体は、「適応度を最大限に高めるという観点」から見ると、「排卵を続けるよりも受胎能力を停止して、今いる自分の親族にエネルギーを注ぐ方が得策」と判断するのだろうという。

 一方、過去の研究では、一度も結婚したことのない女性や離婚した女性に比べて既婚女性の閉経が遅い理由については、「男性フェロモン」の影響が指摘されている。フェロモンは動物から分泌される天然化学物質で、異性を引きつける作用がある。

 どちらの説が理にかなっているかを明らかにするために、アーノット氏とメイス氏の研究チームは、1996年と1997年に米国の女性3000人近くが参加し、数十年にわたる健康調査に協力したデータを精査した。「全国女性健康調査(SWAN)」として知られるこのプロジェクトは、更年期に起きる生物学的および心理学的な変化を追跡調査してデータを収集することを目的としたものだ。

 調査に協力した当初の女性の平均年齢は46歳だった。閉経期に入っている参加者はいなかったが、半数足らずが「閉経周辺期」にあり、軽度の症状が現れ始めていた。調査開始から10年間で、45%の女性が平均年齢52歳で自然閉経を経験した。

 研究チームによる分析の結果、性交渉の頻度と閉経が始まる時期との間の相関関係は疑う余地がないことが明らかになった。

 だが、同居している男性の存在と、男性が発している可能性のある意識下の化学信号との間の関連性は確認されず、「今回の研究では、フェロモンのせいだとする仮説を裏付ける証拠は見つからなかった」と、研究チームは結論付けている。

 自然閉経の年齢は文化によって大きなばらつきがあるが、遺伝的要因はこれらの差異の約半分の説明にしかなっていないことが過去の研究で示されている。(c)AFP/Marlowe HOOD