【1月17日 CNS】伝統的な感覚では、レストランは往々にして、何人か連れ立って一緒に食事や会話を楽しむ場所だったが、「一人食事」が増えるに伴い、多くの人が「ひとりで食事を楽しみたい」と思うようになってきた。

 こんな新しい食事の習慣を探しに8日、中国・四川省(Sichuan)成都(Chengdu)の「一人火鍋店」を探訪した。

 店内には、わずか50センチ幅の木の板で隣と仕切られた一人ずつの座席が25席しつらえられていた。もし友人と一緒に食事したければ、間仕切りを取り払うこともできる。

 店員は行き来しておらず、鍋の具材の提供も含めて、全てのサービスは座席の向かい側の窓口から行われ、運ぶ手間が省かれている。

 浙江省(Zhejiang)温州(Wenzhou)から来た80年代生まれの女性、王珍珍(Wang Zhenzhen)さんがこの店のオーナーだ。王さんは2018年成都を旅して火鍋を食べた時に「一人火鍋」のビジネスチャンスを嗅ぎ取り、温州でやっていた商売をたたんで成都に舞い戻り、この店を開いた。

 客が食事の途中で席を離れる時には、仕切り板の上に「まだ食事中」というカードを立てる。こうすれば店員は勝手に料理を下げることがない。客は注文から食事、料金清算まで全て他人と接する必要がない。

 この店の常連・馮雪剛(Feng Xuegang)さんは1か月に3~4回店を訪れるが、毎回スマホの動画を開いてから、一人静かに食事を楽しむ。

 一人座席の仕切り板にはノートが掛かっていて、表紙には「往事」と書かれている。客が自身の過去の出来事や感想をつづるためのノートだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News