【1月16日 東方新報】中・米両国は幾度もの交渉を重ねた結果、16日正式に貿易協議の第一段階に調印した。今回の調印で、2018年3月以来の世界的な貿易摩擦に一条の光がさし込んだ。

 ワシントン現地時間1月15日午前、中・米包括的経済対話の中国側代表である国務院劉鶴(Liu He)副総理とドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はホワイトハウス(White House)で協議書に署名を行った。協議には知的所有権、技術移転、食品と農産物、金融サービス、人民元為替レートとその透明性、貿易の拡大などの項目が盛り込まれている。

 中・米両国は調印に到るまで、23か月にわたり合計13回のハイクラス協議を行ってきた。
 
 トランプ大統領は調印式で「米中両国はかつてないほど歴史的な一歩を踏み出した」とあいさつした。

 劉副総理は式典のあいさつで「中・米両国は大局から出発し、不一致を直視し、不一致を調整して、第一段階の合意に至った。これは中国にとって、米国にとって、また全世界にとって有利なことである」と述べた。

 調印後中国の公式メディアは「これは『平等』で『ウィンウィン』の協議である。中国が堅持していた三つの核心的な関心事(関税増可分の取り消し、貿易数量の達成、権利や義務の相互平等性の確保)と二つの原則(WTOルール、市場原理)が全て協議に反映された。また米国側の主要な要求に対しては正面から対応、米国産の農産物と食品の輸入に関し両国合意を得た」と報じた。

 日本の専門家筋も中米両国の合意を好評価している。経済評論家の田中宏(Hiroshi Tanaka)氏は「これは米中貿易摩擦が原因で緊張状態にあった世界経済が一息つけるニュースだった。19年年末からの米中交渉の得難い好転が、欧米株式市場を活気づけ、原油と貴金属市場を好転させたと同様に、この調印が全世界の、特に欧米諸国の市場に良い影響をもたらすと信じる」と論評している。

 また田中氏は「米中の第一段階協議に続き、第二段階の協議が始まるが、20年の日本経済を含む世界経済全体にとってさらに多くのグッドニュースが期待できる」との見方を示す。

 日本の元財務大臣の遠藤乙彦(Otohiko Endo)氏は「米中両国の経済貿易協議調印は疑いなく良い知らせであった。米中関係と米中経済貿易の発展にとって重要な意義があるだけでなく、世界経済にも積極的な影響が期待できる」と述べた。(c)東方新報/AFPBB News