【1月15日 AFP】北朝鮮で2018年にスパイ活動の疑いで拘束され、後に国外追放されたオーストラリア人学生のアレック・シグリー(Alek Sigley)さんが、拘束時の取り調べでスパイ活動を認めるうその記述をするよう強要されたと明らかにした。

 シグリーさんは平壌の金日成総合大学(Kim Il Sung University)で朝鮮文学を学ぶ学生だったが、昨年6月に突然行方がわからなくなった。

 北朝鮮当局はその後、スパイ活動に従事した疑いがあるとしながらも、「人道的な寛容さ」に基づく対応だとしてシグリーさんを解放した。

 シグリーさんは北朝鮮に関する韓国の学術誌に寄稿し、9日間に及ぶ「不快で」「外界から完全に切り離された」取り調べで罪を認めるよう強要されたと主張。

 シグリーさんは「私見では私は有罪ではないが、北朝鮮当局にぬれぎぬを着せられた」と訴え、「当局は私を懲らしめたいかのように、繰り返し『謝罪文』を書かせた」と明かした。ただ、北朝鮮当局による身体的な不当行為があったとは主張していない。

 また、自身が逮捕されたことについては「人生の転換点」だったとし、北朝鮮の秘密警察による「拉致」だったと表現している。

 流ちょうな朝鮮語を話すシグリーさんは北朝鮮の事情にも詳しい。また北朝鮮観光を専門とする旅行会社を設立していたほか、2018年には日本人女性と北朝鮮で結婚式を挙げている。

 しかし、「外国人恐怖にとらわれた」北朝鮮でシグリーさんは「部外者」のようだったといい、「地元の人と友達になることは事実上不可能だった」とも述懐している。(c)AFP