【1月15日 AFP】米南部テネシー州で看守や元看守らが14日、死刑囚が看守らの命を救ったとして同州知事に恩赦を要求した。

 ニック・サットン(Nick Sutton)死刑囚(59)は、1979年に祖母を殺害して終身刑を言い渡された。服役中の1985年1月に別の受刑者を殺害し死刑判決を受け、別の殺人事件2件でも有罪となり、来月20日に刑の執行が予定されている。

 しかし同死刑囚の弁護団は、看守や元看守ら少なくとも7人と被害者親族の一部からの支持を受けて、テネシー州のビル・リー(Bill Lee)知事(共和党)に恩赦を求める請願書を提出した。

「ニック・サットンは命の恩人である」と話すトニー・エデン(Tony Eden)看守は、1985年に刑務所で暴動が発生し、受刑者らに人質に取られそうになった際、同死刑囚が安全な場所に逃げる手助けをしてくれたと話す。

 同死刑囚は1994年にも、転倒して意識不明となった看守を別の看守に知らせて助けた。

 弁護団によると、同死刑囚は受刑者2人の救命も手助けしたという。

 エデン看守は宣誓供述書で、「ニックが長い年月を経て成長し、変化するのを見てきた。ニック・サットンは、死刑に値する殺人事件で裁判にかけられた男と同一人物ではないと私は強く信じている」とつづり、同死刑囚は「人の変化する能力、殺人犯も更生できることを示す最良の例だ」と述べた。

 弁護団の発表によると、同死刑囚に死刑を宣告した陪審員の一部も現在、恩赦の要求を支持しているという。(c)AFP