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【1月15日 AFP】タイの国立公園内で、仕留めた獲物のにおいを嗅ぐ雄のトラの姿が映像に捉えられた。このトラは2週間にわたり、獲物の肉を食べていたという。保護活動家らは、絶滅の危機にあるトラの珍しい記録だと指摘している。

 メコン(Mekong)地域に分布するトラは、皮や伝統薬に用いられる部位に対する需要が原因で、絶滅の危機に陥っている。だが、タイとミャンマーの国境地帯に広がる「ダウナ・テナセリム(Dawna Tenasserim)」の森林には、野生のトラが生息している。

 世界自然保護基金(WWF)は13日、野生のトラの目撃例は極めて少ないが、タイは東南アジアにおいてトラの「最後のとりで」となっていると語っている。

 今回のトラの映像は、2019年12月にタイ・カムペーンペット(Kamphaeng Phet)県西部のメーウォン国立公園(Mae Wong National Park)内に設置されたカメラトラップ(自動撮影装置)が捉えたもの。1頭のトラが、ガウル(インドスイギュウ)の血まみれになった死骸の周りを歩き回る様子が映っている。

 ガウルは世界最大の野牛として知られており、タイのWWFのルンナパー・プーンジャムパー(Rungnapa Phoonjampa)氏は、「トラでさえも、ガウルを仕留めるのは容易ではない」と説明した。森林に生息する大型被食動物の存在は、この地域のトラの健康と生存にとって良い兆候だという。

 WWFは今回撮影されたトラを「MKM8」と呼んでおり、2014年から追跡調査している。

 映像は2019年12月撮影・提供。(c)AFP