【1月13日 AFP】カリブ海(Caribbean Sea)の島国ハイチは12日、死者20万人超、負傷者約30万人を出した大地震から10年を迎え、各地で犠牲者を追悼する催しが開かれた。政情不安が続く一方、復興は遅々として進まず、悲しみと苦悩の入り交じる悲観的なムードの中での節目の日となった。

 ハイチは2010年1月12日、マグニチュード(M)7.0の大地震に見舞われた。揺れは35秒以上も続き、首都ポルトープランスや近隣の町はがれきと化して、150万人以上が自宅を失った。

 地震発生直後から国際的な支援や寄付の申し出が相次いだが、数十億ドル規模の義援金・救援金はこれといった成果をもたらさないままどこかへ消えてしまった。生き残った人々は、震災前と変わらぬ人口過密や治安の悪さといった危険にさらされながら、苦しい日々を送っている。

 地震直後に被災者の治療に当たった緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」の現地代表は、現在のハイチについて「外傷センターを再開せざるを得なかった。だが、今や診察する外傷患者の半数以上は銃で撃たれた人々だ」と述べた。

 水野光明(Mitsuaki Mizuno)駐ハイチ日本大使は、ハイチ支援に携わる外国の企業や団体が直面している問題を指摘。「効果的な良い協力活動のためには、治安と政情の安定が必要だ」「日本企業も何社かハイチに進出してきたが、ギャングから脅迫を受けることもある。より良い支援のためには治安の確保が欠かせない」と語った。(c)AFP/Amelie BARON