【1月12日 AFP】イランがウクライナ機撃墜を認めたことを受け、首都テヘランで11日、犠牲者176人の追悼集会が抗議デモに発展した。保守系ファルス(Fars)通信が報じた。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はツイッター(Twitter)で、デモを行うイラン国民の「味方」だと明言し、イラン政府が弾圧を行わないようくぎを刺した。

 AFP特派員によると、数百人の学生が11日午後、テヘラン中心部にあるアミール・キャビール工科大学(Amirkabir University of Technology)に集まり、旅客機墜落による死者を追悼したという。

 集会はその後、怒りを伴うデモに発展し、学生たちは「うそつきども」を非難。旅客機を撃墜し、このミスを隠蔽(いんぺい)していたとされる責任者の辞任と訴追を求めた。

 ファルス通信によると、学生の一部は、3日にイラクの首都バグダッドで米無人機の攻撃により殺害されたガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官が描かれたポスターを引きはがした。

 同通信は、追悼集会でキャンドルの輪を学生たちが囲む様子や、笑みを浮かべるソレイマニ司令官のポスターが引きはがされる場面を捉えた画像を公開。学生たちが大学構外に出て道路を封鎖し、交通渋滞を発生させたことから、警察が学生たちを「解散させた」という。

 国営テレビも異例のデモ報道を行い、学生たちが「反体制的」なシュプレヒコールを上げたと報じた。

 ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相は、テヘランで11日、駐イラン英大使がイラン当局に身柄を一時拘束されたと明らかにした。英紙デーリー・メール(Daily Mail)の報道によると、ロブ・マケア(Rob Macaire)大使はテヘランでのデモを「扇動」したとして拘束され、約1時間後に解放されたという。

 トランプ米大統領は11日、自身はイラン国民の味方であると明言し、イラン政府がウクライナ機撃墜を認めた後に発生した一連のデモを注視していると述べた。

 トランプ氏は「勇敢で辛抱強いイラン国民へ。私は大統領に就任して以降、みなさんの味方だった。わが政権は今後もみなさんの側に立ち続けるつもりだ。みなさんのデモを注意深く見守っており、その勇気に触発されている」とツイート。

 一方で、昨年11月の街頭デモに対するイラン当局の弾圧をほのめかしながら、「イラン政府は人権団体に対し、イラン国民が行っているデモを徹底的に監視し、事実を報告することを認めなければならない。再び平和的なデモ参加者を虐殺したり、インターネットを遮断したりするなどあり得ない。世界が注視しているぞ」と警告した。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は、昨年11月のデモで300人超が死亡したと報告している。(c)AFP