【1月13日 東方新報】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の自由貿易の推進器となる北部湾航運交易有限公司が2019年12月25日、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)南寧市(Nanning)で設立された。西部の陸海新ルートのソフト環境を改善し、中国とASEAN諸国の海と陸の運輸資源を統括する起点とするのが狙い。

 2019年5月、同自治区政府の同意を経て、広西北部湾経済区計画建設管理弁公室と広西交通運輸庁が共同で設立し、中国―中国東信(China-ASEAN Information Harbor)が参与している。

 株主の中国東信の「ネット+」産業成果と技術研究開発の委託を受けて、海運輸送ビッグデータの開発を行い、海運輸送情報および、そこから導き出されたサービスを提供する公正かつ中立の権威ある第三セクター機能を備えた機関といえる。多様な連動サプライチェーンサービスのプラットフォームをつくり、ネット海運物流生態圏を建設していくという。

 設立式では、広西北部湾経済区の幹部らが出席。北部湾港の基礎インフラ建設と同時に、ソフト環境も建設し、ハイテク港航サービス業の発展とってこの企業が非常に重要であると評価した。同企業の設立により、多くの貨物ソースを北部湾港に集積し、総合物流コストを下げて、北部湾港の国際的影響力を高めたいとしている。中国西部地域の新たな国際市場への門戸港を開くという意味で重要な意義がある。

 中国・ASEAN自由貿易区は2010年に始動。世界ではグローバル経済の成長が鈍化し、貿易保護主義が台頭、反グローバリズム情緒の抵抗にあって多極貿易システムは複雑化しているが、中国とASEANはウィンウィンの強烈なシグナルを双方が送りあって、開放協力の一つのモデルをつくり上げてきた。昨秋に開催された第16回中国—ASEAN博覧会・ビジネス投資サミットには、国内外の企業2848社が7000の展示ブースを設置、90件の貿易促進イベントが行われた。

 2010年当時、中国―ASEANの貿易総額は2927億8000万ドル(約32兆500億円)だったが、2019年は上半期だけで2918億5000万ドル(約31兆9500億円)となった。この9年間、この20億人口がグローバル経済発展の枠組みの中の、この市場において恩恵を受けてきた。

 2019年8月に輸出入貨物の原産地管理規則が改正され、中国―ASEAN貿易はさらに追い風を得る。製品の最後の生産工程がASEAN内であれば、当事国から中国に直接運輸されたものに対し、「中国―ASEAN全面経済協力枠組み協議」に基づく協定税率が適応されるようになる。

 来年は中国―ASEAN自由貿易区設立10年目ということで、全方位的発展の新段階に入る。特に「一帯一路(Belt and Road)」建設において、南シナ海(South China Sea)に直接つながる北部湾のIT化整備に期待がよせられ、中国とASEANの運命共同体の枠組み構築をさらに一歩進めることになりそうだ。(c)東方新報/AFPBB News