【1月13日 東方新報】中国の春節(旧正月、Lunar New Year)休みに向けた民族大移動「春運」の季節が近づいている。国家発展改革委員会の予測によると、今年は延べ30億人以上の大移動と見込まれ、全体としては昨年をやや上回るという。そして、安価のわりに移動時間が短い鉄道切符は人気で、激しい争奪戦が例年の話題となる。

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 移動手段の利用予測は、道路が24億3000万人(前年比1.2%減)、鉄道が4億4000万人(同8%増)、旅客機が7900万人(同8.4%増)、水運が4500万人(同9.6%増)となっている。

 春節休みが始まる1月21日の切符販売日の昨年12月23日には、中国鉄道部公式ネット販売サイト・アプリ「中国鉄路12306」に予約が殺到し、一時サイバーがダウンする事態もあった。人気の路線の切符は、アプリを使って15分以上待っても最終的に買えないという事態もある。

 春節休み最終日にあたる1月30日の鉄道切符の販売は1日に始まったが、この日の販売数は1525万1000枚に上った。うち「中国鉄路12306」の取扱数は1335万5000枚、電話予約販売が1万4000枚で、ネット販売は87.6%を占めた。キャンセル待ち予約は23万1000件で、枚数では29万5000枚になる。

 鉄道部によれば、1月30日分は、ハルビン(Harbin)、瀋陽(Shenyang)、武漢(Wuhan)発北京行き、長沙(Changsha)、成都(Chengdu)、重慶(Chongqing)、武漢発上海行き、南寧(Nanning)、武漢、成都、貴陽(Guiyang)発広州(Guangzhou)行きの座席は残りわずかだという。また、切符をオフィシャルのサイトやアプリ以外で購入するのはリスクが大きく、避けるよう呼び掛けている。

「春運」の習慣は新中国成立の1949年から続く変わらぬ風物詩であるが、高速鉄道ネットワークができ、IT技術が発達したおかげでずいぶんと変わった。切符はネット販売が主流、改札は顔認識システムの導入が始まり、ダイヤの変更や混雑状況はAIがすぐにスマートフォンを通じて教えてくれる。

 顔認証付き監視カメラとビッグデータの活用で、駅構内での人の流れの誘導、治安維持、紛失物の防止などの面で各段に効果が上がっている。かつて春運といえば、切符を買うのに徹夜で行列したり、トイレにいくこともできないほど混雑していたり、窃盗、ひったくり、置き引き、紛失というトラブルがつきものだったが、そういった困難のほとんどが今は解決されつつある。

 だが春節休みに人々が故郷に帰り、家族全員で集まって新年を迎えたいという中国人的人情はほとんど変わらない。「春運」現象は今年もめぐってくる。(c)東方新報/AFPBB News