【1月8日 AFP】失われつつある世界の原生林の3分の1以上を先住民が管理しているとの調査結果が7日、発表された。先住民らは開発や森林破壊の脅威にさらされており、保護強化が必要だと研究チームは訴えている。

 オーストラリア東海岸では今、破滅的な森林火災が猛威を振るっている。このような中、実施された森林維持に関する最新調査では、残存する手付かずの森林の36%は先住民に所有権があることが明らかになった。

 開発されておらず、生息地が保たれているこれらの森林と隣接地は、気候変動や生物多様性の損失に対抗する上で重要となる。

 先住民は生態系の維持において極めて重要な役割を果たしている。先住民の伝統的な森林管理方法は、現代の保護技術よりも多くの場合において効果的なことが判明している。

 しかし先住民は現在、ブラジルをはじめとする複数の国で攻撃されている。例えばブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)政権は、先住民の土地での採掘を合法化しようとしている。

 国際研究チームは今回、50か国の原生林の地理空間分析を実施、分析結果を先住民が所有する土地の地図と重ね合わせた。

 その結果、先住民の土地では未開発の森林地帯が2000年以降8.2%減少していることが分かった。一方、先住民の管理域外の土地の2000年以降の減少率は10%だった。

 論文の執筆者らは各国政府に対し、先住民の権利を保護し、気候変動との闘いに先住民を参加させるよう呼び掛けている。

 論文の執筆者で、英マンチェスター・メトロポリタン大学(Manchester Metropolitan University)のジョン・ファ(John Fa)氏は、オーストラリア南東部一帯の動植物生息地を破壊している現在の火災がこれほどの規模になったのは、歴代政府の資源管理計画が不十分であることに一部起因している可能性があると指摘している。

 ファ氏はAFPの取材に対し、「伝統的な森林火災管理とされる手段が講じられていれば、最近の火災はこれほど壊滅的な状態にはならなかったと指摘するオーストラリア先住民もいる」と述べた。

 論文は学術誌「フロンティアズ・イン・エコロジー・アンド・ザ・エンバイロメント(Frontiers in Ecology and the Environment)」に掲載された。(c)AFP/Patrick GALEY