【12月29日 AFP】シリア北西部イドリブ(Idlib)県では、政府軍とロシアによる爆撃から逃れるためここ2週間で約23万5000人が避難する事態となっている。激戦地の町に通じる道路は27日、民間人で埋め尽くされた。

 AFP特派員によると、現地では家族連れの民間人たちがマットレスや衣服、家電製品と共にピックアップトラックに乗ってイドリブ県南部から避難。その大半は、北方のより安全な地域へと向かった。

 内戦開始から8年が経過したシリアでは、イドリブ県が反体制イスラム過激派の最後の主要拠点となっている。今年8月には停戦協定が結ばれていたが、シリア政権軍は今月中旬以降、同盟関係にあるロシア軍と共に同県南部での爆撃を強化。国際社会は緊張緩和を要請しているものの、イドリブ県で続く今回の攻勢により、多くの民間人が死亡している。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、今月12~25日の2週間で23万5000人以上が避難。最も多くの避難民が出ているのはイドリブ県南部の町マーラトヌマン(Maaret al-Numan)で、町は「ほぼ無人」になったという。OCHAの報道官デービッド・スワンソン(David Swanson)氏は27日、今月イドリブ県南部から避難した人々の8割以上は女性と子どもだと述べた。

 イドリブ県北部ダナ(Dana)にある避難民キャンプに最近到着した5児の母は、顔を覆ったベールから疲れた目をのぞかせながら「キャンプには住めない。雨はとても強いし、暖房や服、食べ物も必要」と語った。(c)AFP