【12月20日 AFP】スペイン警察は19日、不法移民らを「奴隷同然の環境」で強制労働させて大麻を生産し、欧州各地に輸出していたとみられる中国人犯罪組織を摘発した。

 警察発表によると、この組織は主にバレンシア(Valencia)地方で、工業地帯にある倉庫を借りて大麻草を栽培していたとみられる。民間の宅配業者を利用し、衣類と偽った小荷物を欧州各国に輸出していた。

 摘発により、「奴隷同然の尊厳を踏みにじる環境」の倉庫内で24時間強制労働させられていた中国人とベトナム人の男性36人が解放された。摘発に至るまでの捜査には8か月を要したという。

 警察は「倉庫内の生活環境はとても危険で劣悪、衛生状態も悪かった」と述べ、「外出さえ許されず、外部と連絡できなかったと複数の被害者が語っている。彼らは奴隷同然に働き続けるのに必要な最低限の食料しか与えられなかった」と説明した。

 警察の推定によると、この犯罪組織は2018年初め以降、大麻約4.2トンを輸出している。

 警察はさらに、強制的に売春をさせられていたとみられる中国人女性13人も解放した。

 今回の摘発で計81人が逮捕され、大半は中国人だが英国人とベトナム人も数人含まれている。当局は組織が使用していた倉庫19か所を解体し、大麻草2万2000株、重量にして約3.4トンを押収した。(c)AFP