【12月17日 AFP】レバノンのミシェル・アウン(Michel Aoun)大統領は16日、新たな首相を選出する協議を延期すると発表した。

 同国では無策で汚職がはびこった政治階級の全面的な刷新を求め、前例のない全国規模の抗議デモが起こり、この圧力に屈して10月29日、サード・ハリリ(Saad Hariri)首相が辞意を表明した。

 その後、数週間のデモは概して平和的だったが、この1週間でハリリ氏が再び首相に就く筋書きが浮上すると、首都ベイルートでは週末2日間にわたりデモが激化。治安部隊との衝突で数十人の負傷者が出た。週明け16日にもハリリ氏再任に反発する数十人が、同氏の私邸近くに集まり抗議デモを行った。

 アウン大統領府は16日、「(辞任する)サード・ハリリ首相の意向に従い、議会協議を12月19日木曜日まで延期する」と発表。協議は当初9日に予定されていたもので、2度目となる延期について、ハリリ暫定首相府は「主要キリスト教連合の参加が全くないまま指名が行われる」事態を避けるためだと説明した。

 レバノンの政治制度は、異なる宗教・宗派間の均衡を維持するために複雑な仕組みとなっているが、首相は常にイスラム教スンニ派(Sunni) のポストとなっている。ハリリ氏は前回の組閣で、すべての政治勢力との合意をまとめるのに約9か月かかっており、次の組閣も数か月かかる可能性がある。(c)AFP/Rouba El Husseini