【12月16日 AFP】レバノンの首都ベイルートで週末2日間にわたり反政府デモが再燃し、15日には国会議事堂近くでデモの参加者らと警察が衝突した。同国では16日、深まる経済危機の解決に向けた新内閣発足のための協議がようやく開始される。

 レバノンでは10月17日以降、無能で腐敗にまみれたとされる政治体制の全面的な見直しと、実務家による独立した内閣の発足を求め、大規模な平和的デモが行われた。同国で前例のない数週間に及んだデモの末、サード・ハリリ(Saad Hariri)首相は10月末、辞意を表明するに至った。

 治安部隊は14日夜、ベイルートの国会議事堂付近に設置された金属製のバリケードを破ろうと試みたデモ隊を分散させるため催涙弾やゴム弾を使用。これにより数十人の負傷者が出た。この事態を受け、ラヤ・エルハッサン(Raya El-Hassan)内相は治安部隊に対し「迅速かつ透明な」取り調べを行うよう命令。その後、デモ隊と警官隊の衝突が再び発生した。

 しかし多くのデモ参加者は暴力に屈することなく、次期首相の選出をめぐる審議が始まる16日に先駆け、15日も市内中心部の議会付近に押し寄せた。

 AFPフォトグラファーによると、デモ隊は治安部隊に向けて水が入ったペットボトルや爆竹を投げ、これに対し治安部隊は催涙ガスや放水銃を使用した。これまでのところ死傷者の報告はないが、14日の状況が繰り返されるのではないかと懸念される事態となった。(c)AFP/Tony Gamal-Gabriel