【12月13日 AFP】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問は12日、同国のイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)へのジェノサイド(集団殺害)をめぐる国際司法裁判所(ICJ)の裁判で、審理を取りやめるよう求めた。スー・チー氏は、裁判によってロヒンギャ約75万人が避難を余儀なくされた危機が再燃すると警告した。

 ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者でミャンマーの事実上の文民指導者であるスー・チー氏は、オランダ・ハーグ(The Hague)のICJで開かれた3日間にわたる審理後の最終弁論で、西アフリカのガンビアがミャンマーを提訴したこの裁判を進めることは「和解を台無しにする」恐れがあると主張した。

 スー・チー氏は平和が戻りつつある証拠として、2017年のロヒンギャに対する軍事行動で影響受けた地域で最近行われたサッカーの試合の写真まで提示した。しかし、同氏がかつて対立していた軍幹部らを擁護したことで、人権運動の象徴としての国際社会での名声は低下している。

 スー・チー氏は6分間の短い弁論で、「壊れやすい信頼の土台を築き始めたばかりの社会に、疑念を生み、疑いを植え付け、あるいは怒りを生み出すことは、和解を台無しにする恐れがある」と主張。「継続中の内部紛争を終結させることは(中略)わが国にとって最も重要だ。しかし2016~2017年にラカイン(Rakhine)州北部で起こった武力紛争の再燃を回避することも同様に重要だ」と述べた。(c)AFP/Danny KEMP