【12月12日 AFP】台湾検察当局は、中国政府関係者らによる訪台の便宜を図るため、文書を偽造していたとされる複数の旅行会社や民間団体に対する捜査を開始した。台湾の安全保障の侵害に当たるとの懸念も生じている。

 台北地方検察署は11日、中国人らが「事業交流」用の許可証で台湾を訪問できるよう身元を偽装した疑いで、容疑者10人を取り調べ、5か所で家宅捜索を行ったと発表した。

 検察側は、進行中の捜査に関する詳細の公表は差し控えるとしているが、現地メディアは捜査筋の話として、2017年以降、多数の政府関係者を含む中国人約5000人が、この偽装工作を悪用して台湾を訪れたとみられると報じている。

 台湾紙の自由時報(Liberty Times)によると、ある人物がまず約10のペーパー民間団体を設立。そして複数の旅行会社と協力し、中国政府職員らによる訪台の便宜を図っていたという。

 同紙の報道では、問題の旅行会社のうち1社は、反社会的勢力の元構成員で、親中派の小政党を立ち上げた人物の息子が経営しているとされる。

 また蘋果日報(Apple Daily)は匿名筋の話として、偽造文書による訪台者のうち少なくとも2人が、中台統一を促すプロパガンダを担当する中国共産党中央統一戦線工作部(United Front Work Department)の職員だったと伝えている。(c)AFP