【12月12日 AFP】世界初の完全電動商用機の試験飛行が10日、カナダのバンクーバー(Vancouver)で行われた。航空機による大気汚染の問題を将来、解消するものと期待されている。

 米シアトル(Seattle)を拠点に航空機用の電動モーターを開発している「マグニクス(magniX)」の最高経営責任者(CEO)、ローイ・ガンザルスキー(Roei Ganzarski)氏は「この試験飛行により完全に電動化された航空機の商用化が可能だということが示された」と述べた。

 この電動商用機についてマグニクスは、バンクーバーとスキーリゾートのウィスラー(Whistler)や周辺の島々、沿岸部の居住地域をつなぐサービスを年間50万人に提供している航空会社「ハーバー・エア(Harbour Air)」と提携した。

 ガンザルスキー氏は報道陣に対し、この技術により航空会社は大幅なコスト削減が可能になるとし、「電気飛行機時代が始まった」と述べた。

 この電気飛行機の本体は、製造から62年が経過しているデハビランド・カナダ(De Havilland Canada)製のDHC-2ビーバー(DHC-2 Beaver)という水上機で、電動モーターが組み込まれている。操縦はハーバー・エアの創業者グレッグ・マクドゥガル(Greg McDougall)氏が担当した。

 マクドゥガル氏は「操縦はビーバーを飛ばすのとほとんど変わらなかったが、これは電気でパワーアップしたビーバーだ。だからややスピードを制御しながら操縦していた」とコメントした。

 バンクーバー空港(Vancouver International Airport)に近いフレーザー川(Fraser River)沿いで日の出後すぐに行われた試験飛行には、約100人の見物人が訪れた。現場にいたAFPの記者によると、飛行は15分間以内に終了したという。

 今後も電気飛行機の信頼性と安全性の確認のため試験飛行が続けられる。加えて電動モーターは、規制当局の承認と認可を受ける必要がある。

 バッテリーに関する課題もある。ガンザルスキー氏によると、試験飛行を行った型の飛行機はリチウムバッテリーで160キロしか飛行できないという。(c)AFP/Alia DHARSSI