【12月11日 AFP】大規模な森林火災が発生しているオーストラリアのシドニーは10日、有害な煙霧で覆われ、街中で煙感知器が鳴り響いた。同日には強風と高温が予想され、火災がさらに激しさを増す恐れがあると市民は警戒している。

 森林火災の影響で、有害な粒子を大量に含んだ煙が商業施設に流れ込み、消防車はサイレンを鳴らしながらシドニー中心部のオフィスからオフィスへと駆け巡った。

 最も近い火災発生場所から数キロしか離れていない地元消防本部は、避難を余儀なくされたという。マスクを着用した通勤者らは、鼻を突く濃煙の中をむせながら通り過ぎていった。

 有名な「シドニー・ホバート・ヨットレース(Sydney Hobart yacht race)」に先立って開催されるのが恒例となっている港でのヨットレースの主催者は、「視界が非常に悪い」ためレース開催は危険過ぎるとの判断を示し、「各地の火災による煙の影響は同港では非常に深刻で、とにかく何も見えない」とコメントした。

 一部の通勤用フェリーも、「濃い煙の影響で」欠航となった。大気汚染は「危険」とされるレベルをはるかに超え、学校では休み時間にも児童・生徒を屋内にとどまらせる措置が取られた。

 10日早朝までに、ニューサウスウェールズ(New South Wales)州だけで100件近くの森林火災が発生しており、クイーンズランド(Queensland)州でも数十件の火災が確認された。

 シドニー北西部では、数週間続いた複数の森林火災が合流して「メガ火災」になっており、国立公園を中心に既に31万9000ヘクタールが焼失している。

 映像は公共放送ABCの放送内容、10日撮影・提供。(c)AFP/Andrew BEATTY, with Daniel de Carteret in Gosford