【12月10日 AFP】(更新)世界反ドーピング機関(WADA)は9日、ドーピングの検査データの改ざん問題をめぐり、ロシアに対して2020年東京五輪と2022年サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)を含め、主要国際スポーツ大会における4年間の出場禁止処分を科した。

 スイス・ローザンヌ(Lausanne)で会合を開いたWADA常任理事会は、モスクワのドーピング検査所が捏造(ねつぞう)したデータを提出したと指摘し、ロシアに対して4年間という「断固とした」出場禁止処分を言い渡した。

 これまでで最も厳格な処分が下されたことにより、ロシアは政府関係者による主要大会への出席を一切禁止されるほか、大会の開催権および招致権も失う。

 WADAのクレイグ・リーディー(Craig Reedie)会長は、「あまりにも長期にわたり、ロシアはクリーンなスポーツをないがしろにしてきた」とすると、「アスリートやスポーツの高潔性を守るために、ロシアは内部の振る舞いを正し、世界の反ドーピング組織に復帰するためのあらゆる機会を提供された。しかし、同国が代わりに選択したのは、ごまかしと否定の姿勢を貫くことだった」と述べた。

 今回の処分にもかかわらず、ロシアの選手は男女共に来年の東京五輪と2022年北京冬季五輪に中立の立場で出場することができる。しかし、それは国家主導のドーピングに無関係であるとWADAが認定した場合に限られている。

 また、2022年W杯カタール大会への予選出場は可能であるものの、WADAのオリビエ・ニグリ(Olivier Niggli)事務総長によれば、同国が本大会進出を果たした場合、「チームはロシア連邦を代表することはできない」という。

 サンクトペテルブルク(St. Petersburg)で4試合が行われることになっている2020年サッカー欧州選手権(UEFA Euro 2020)に関しては、「主要大会」の定義から外れるという理由で、今回の処分は適用されない。

 ロシアは2019年9月、モスクワ検査所のデータを全面開示することを条件に、物議を醸す中でWADAから資格回復が認められていた。

 9日に公表された文書によれば、WADA内部のコンプライアンス審査委員会(CRC)は、2011年から2015年のドーピングコントロールに不審点があるとみられていた選手298人のうち145人に関して、調査を著しく妨害するようなドーピングデータの「削除や改ざん」を確認したとされている。

 WADAの調査官であるギュンター・ヤンガー(Gunter Younger)氏によると、その145人のうち3割が今も現役選手であるという。

 26ページにわたるCRCの文書では、一部の削除はスキャンダルが発覚した2016年7月に始まり、WADA理事会がドーピングの検査データを提出するよう求めた後にも、「多くの」データが改ざんされていたことが明らかにされた。(c)AFP/Eric BERNAUDEAU