【12月6日 AFP】西アフリカ、モーリタニアの沖合で4日、移民が乗った即席の船が沈没し、少なくとも62人が死亡した。欧州への密航者が増加する西アフリカ沖ルートでの事故としては今年最悪のものとなった。

 船はスペインのカナリア諸島(Canary Islands)を目指す途中、岩に衝突して転覆。83人が自力で岸に泳ぎ着いた。

 モーリタニア内務省が4日夜に行った発表によると、移民らは同じく西アフリカにあるガンビアの首都バンジュール(Banjul)からスペインへの密航を試みていた。

 国際移住機関(IOM)は当初、死者数を58人としていたが、その後さらに複数の遺体が岸に漂着したことから、死者数は少なくとも62人に増加。モーリタニアの治安当局者は、5日に5体の遺体が見つかったと説明したが、IOMは確認できた遺体は4体のみだとしている。

 同当局者がAFPに語ったところによれば、船は西サハラ(Western Sahara)との境界線に近い町、ヌアディブ(Nouadhibou)の北約25キロの場所で岩に衝突して浸水し、沈没した。船から岸までは遠くなかったが、波が荒く接岸できなかったという。

 生存者らはIOMに対し、沈没時、船には少なくとも150人が乗っていて、女性や子どももいたと話している。モーリタニア内務省も、船には150人から180人が乗っていたと説明。その大半が20歳代だったとしている。

 IOMの統計によると、今回の死者数は「西方ルート」と呼ばれる航路での事故としては今年最多で、移民の水難事故としては世界で6番目に多い。

 リビアから欧州を目指す航路は当局が取り締まっており、近年は西アフリカ諸国からカナリア諸島を目指すルートでの渡航が増加。IOMによると、同諸島に向かう途中で死亡した人は昨年1年間で43人だったが、今年はこれまで確認されているだけで158人前後に上っている。

  映像は生存者ら、地元テレビ局TVMが撮影・提供。(c)AFP/Hademine OULD SADI